薬剤師資格を持っているから薬局や医療機関でしか働く場所はない、と思っていませんか?
調剤は立派な仕事です。でも薬剤師資格は製薬会社や医療機器、化粧品会社などの企業や医療に特化したライターなど多岐にわたる分野で活かせます。
薬剤師資格を持って働くことでどのようなキャリアが広がるのか、現役製薬会社勤務の私が徹底的に解説します。
この記事を読むと薬剤師資格を活かせる仕事には何があるか、年収が高い仕事やリモートワークが可能な仕事がわかり、これからのキャリアが広がります。
薬剤師から異業種転職を考えている方は、薬剤師を辞めて違う仕事を探す完全ガイドで詳しく解説しています。
薬剤師資格を活かせる好条件の仕事を紹介
薬剤師の資格は、薬局や医療機関だけでなく、企業でも活かせます。
製薬企業や医療機器メーカー、化粧品会社、品質管理、メディカルライターなど多岐にわたる職種で活躍できるチャンスがあります。
薬剤師以外の仕事を選ぶ上で、気になるポイントとして年収が高い仕事とリモートワーク可能な仕事を紹介します。
年収が高い仕事
年収が高い仕事といえば、製薬会社のMR(医薬情報担当者)です。
- 20代:495万円
- 30代:691万円
- 40代:916万円
- 50代:946万円
リモートワークが可能な仕事
リモードワークが可能で専門性を活かせるオススメの仕事は、メディカルライターです。
パソコンがあればどこでも作業ができ、比較的自由に時間を使え自分のペースで仕事ができます。
メディカルライターは経験を積めば独立することも可能。自分のペースで仕事ができるのでオススメです
メディカルライター以外でリモートワークが可能な仕事は、製薬会社のDI(医薬情報提供)です。
薬剤師資格を活かせる仕事10選
薬剤師の資格があると、多岐にわたる仕事が可能です。薬剤師の資格を活かせる仕事を10種類紹介します。
平均年収を( )に記載しました。ちなみにドラッグストア・薬局の平均年収は356万円ですので、比較すると目安がわかります。(参考:doda公式サイト、求人統計データ、Indeed)
- 製薬会社のMR(医薬情報担当者) (732万円) 1000万円超可能
- 製薬会社のCRA(臨床開発モニター)(647万円)
- 製薬会社のDI(製品情報提供)(408万円) リモートワーク可能
- CRC(治験コーディネーター)(427万円) 専門性が活かせる
- 医療知識を活かしたライター(メディカルライター)(579万円) リモートワーク可能
- 品質管理・製造(399万円)
- 医薬品卸売・流通(407万円)
- 医療機器メーカー(562万円)
- 化粧品業界(406万円)
- 医療コンサルタント(477万円)
平均年収で比較すると、薬局薬剤師より企業の方が高いです
医薬情報担当者:MR
医薬情報担当者 MR(Medical Representatives)は製薬会社や医療機器メーカーなどで働く専門家であり、製品やサービスの販売や宣伝、医療関係者への情報提供を担当します。
MRの仕事内容
製品の知識と研究
製品やサービスに関する深い知識を習得し、最新の研究や医学的な情報に常にアップデートされます。
顧客へ製品の紹介と説明
医師、薬剤師、看護師などの医療関係者に製品やサービスを紹介し、効果や利点、適応症、適切な使用方法について説明します。
市場調査と競合分析
市場動向や競合他社の製品に関する情報を収集し、戦略の立案や製品の位置づけを支援します。
顧客対応と関係構築
顧客との信頼関係を築き、定期的な訪問やコミュニケーションを通じて、製品に関する相談やニーズの把握を行います。
セミナーや研修の企画と実施
医療関係者向けのセミナーや研修を企画し、実施します。製品や疾患に関する知識の向上を促進します。
以前はMRが医師と接待ゴルフ……でしたが、今はコンプライアンスの観点から医師を接待することはほとんどありません。勤務体系もリモートが増えています。
報告とデータ分析
市場動向や顧客の反応、販売状況などに関する報告を作成し、結果を分析して戦略の評価や改善に活かします。
製薬会社で研究開発業務:CRA
CRA(Clinical Research Associate)は、臨床試験の円滑な進行とデータの正確な収集を担当する重要な役割を果たします。試験の信頼性と安全性を確保するために欠かせない存在と言えます。
CRAの仕事内容
試験施設の選定と訪問
試験施設を選定し、定期的に訪問して試験の進捗状況を確認します。必要なファイルや記録が適切に保管されているかを確認します。
被験者のモニタリング
試験参加者(被験者)の適格性や安全性を確認し、試験の進捗に関するデータを収集・監視します。
データの収集と管理
試験に関連するデータの収集や報告を行います。電子データベースを利用してデータを管理し、品質を確保します。
モニタリングレポートの作成
訪問時の詳細や観察内容、問題点、対応などを報告するモニタリングレポートを作成し、関係者に提出します。
チームとの連携
研究チーム内での連携を図り、円滑に臨床試験を進めるための調整や協力を行います。
製薬会社は「経験者」を求めることが多いので、まずCROで業務を経験し、数年後に製薬会社へ転職するのがオススメです!
製品情報の提供:DI
DI(Drug Information)製品情報の提供は、薬剤師が製薬会社や医薬品関連機関で行う重要な役割です。
薬剤師が医療従事者や患者に対して適切な薬剤情報を提供することが目的です。
DIの仕事内容
薬剤情報の収集と整理
医薬品に関する最新の情報を収集し、整理します。これには、薬剤の成分、効果、副作用、適応症、禁忌、投与方法などが含まれます。
情報資料の作成
薬剤情報をもとに、医療従事者や患者向けの情報資料を作成します。これには、パンフレット、チラシ、ウェブサイトのコンテンツなどがあります。
問い合わせ対応
医療従事者や患者からの薬剤に関する問い合わせに対応します。電話や電子メールを通じて適切な情報やアドバイスを提供します。
教育・研修
医療従事者への薬剤に関する教育や研修を行います。新しい薬剤の情報や適切な使用法について教育することがあります。
医療関連機関への情報提供
医療機関や薬局に対して、薬剤情報の提供や医薬品の適正使用に関する情報を提供します。
治験コーディネーター:CRC
CRC(クリニカル・リサーチ・コーディネーター)は医療機関で臨床試験をサポートする重要な役割を担います。
CRCの仕事内容
治験参加者の同意取得補助
治験の実施計画書を理解し、治験参加者に試験の内容を説明し、治験への同意を得ます。
治験の実施
治験の日程を調整し、治験参加者のスケジュールを管理し、データの収集と記録を行います。
治験薬管理
治験薬の受け取り、管理、配布を担当します。治験薬の在庫管理と品質管理を確保します。
モニタリング
治験実施機関の監査を受け入れ、データの正確性を確保します。問題があれば、修正や追加データの提供を行います。
コミュニケーション
医師や看護師と協力し、円滑な治験の実施に貢献します。治験参加者や家族とのコミュニケーションも重要です。
CRCは直接患者と関わる仕事です。治験を通して、医師や製薬企業のCRAと協力し、薬剤師としての資格を活かせます。
メディカルライター
メディカルライターは、医学・医療に関連するテキストやコンテンツを執筆・編集する専門家であり、専門的な知識と信頼性の高いコンテンツ作成が求められる仕事です。
メディカルライターが担当する文書は、製薬会社に関連する文書(治験結果をまとめた総括報告書、薬事申請文書、医薬品に関する文書等)やメディアに掲載するコンテンツや文書、論文など多岐にわたります。
専門性が高く、需要が高まっています。
メディカルライターの仕事
医学的コンテンツの執筆
医学・医療に関連する記事、ブログ、レポート、プレゼンテーションなどの執筆を行います。
論文の執筆とレビュー
医学論文や学術論文の執筆、校正、編集を担当し、学術的な品質を保つ役割を果たします。
医療機器や医薬品の説明文の作成
医療機器や医薬品の特徴や効果、適応症に関する説明文を作成します。
医療記事の編集
他のライターや専門家が執筆した医療記事の編集や校正を行い、品質の向上に貢献します。
メディカルライターはリモートワークが可能な職種。場所や時間を選ばず働けるためオススメです!
品質管理・製造
薬剤師が品質管理・製造に従事する場合、製薬会社や医薬品製造施設で働くことが一般的です。厳格な規制や基準に従いながら、製品の品質を維持・向上させる役割を担います。
品質管理・製造の仕事内容
品質管理
製造工程全体における品質管理を担当します。製造前、製造中、製造後の品質チェックを行い、規格や規制に適合していることを確認します。
製造工程管理
製造工程の監視、調整、改善を行います。製造の段階で問題が生じた際に即座に対応し、製品の品質を保つための措置を講じます。
製造手順の作成
製造工程に関する手順書やマニュアルを作成・更新します。これには製品の製造手順や清潔化、機器の取扱い方法などが含まれます。
品質検査
製品の品質を検査し、製品が規格に適合しているかどうかを確認します。検査結果を文書化し、必要に応じて品質改善の提案を行います。
規制順守とコンプライアンス
製品の製造・品質管理が法令や規制に適合しているか確認します。規制順守に関するトレーニングを受け、社内での遵守を推進します。
GMP(Good Manufacturing Practice)の遵守
GMP規格に基づき、製造プロセスや品質管理の基準を遵守します。これには清潔度の確保や適切な文書管理などが含まれます。
不良品の対応
不良品が発生した場合、その原因究明や改善策の提案、再発防止策の検討を行います。
医薬品卸売・流通
薬剤師が薬品卸売・流通業界で働く場合、医薬品の供給や流通管理、関連する業務を担当します。安全な医薬品の供給と効率的な流通を確保する重要な役割を担います。
医薬品卸売・流通の仕事
医薬品の仕入れと在庫管理
卸売業者で、薬品の仕入れを担当します。適正な数量とタイミングで医薬品を仕入れ、在庫管理を行います。
受発注処理
薬品の受発注処理を担当します。顧客からの発注を受け、正確に商品をピッキングして出荷処理を行います。
物流管理
薬品の物流管理を行います。輸送手段や配送スケジュールの最適化、倉庫での保管管理などが含まれます。
顧客サポート
薬品に関する問い合わせやトラブルに対する顧客サポートを担当します。正確な情報提供や問題解決に努めます。
配送調整
医療機関や薬局への薬品の配送を調整します。適切なタイミングやルートを考慮して配送を最適化します。
品質管理とコンプライアンス
取り扱う薬品が品質基準や規制に適合していることを確認し、コンプライアンスを保つ役割を担います。
情報管理
薬品に関連する情報の管理やデータ入力を行います。これには、製品情報や価格設定、仕入れ先情報などが含まれます。
医療機器メーカー
医療機器メーカーでは、薬剤師が多様な役割を担い、製品開発から販売支援まで幅広い分野で活躍します。
医療機器メーカーの仕事
製品開発・研究
医療機器の開発に参加し、薬剤師の知識を生かして製品の開発や改善に貢献します。安全性や有効性の評価、臨床試験の設計などが含まれます。
製品情報の提供
製品に関する情報資料やマニュアルを作成し、医療従事者や顧客に向けて適切な情報を提供します。
販売支援
医療機器の販売を支援します。製品の特徴や適応症について医療従事者に説明し、製品の適切な使用をサポートします。
法規制とコンプライアンス
製品が法令や規制に適合しているか確認し、法令順守を担保します。規制当局とのやり取りや審査対応も行います。
トレーニングと研修
製品の正しい使用方法や適切な管理に関するトレーニングや研修を行い、医療従事者や顧客の理解を深めます。
市場調査と競合分析
市場の動向や競合他社の製品に関する情報を収集し、戦略の立案や製品の戦略的な位置づけを支援します。
顧客サポート
顧客からの問い合わせや疑問に迅速に対応し、適切なサポートを提供します。製品の使い方やトラブルシューティングに関するアドバイスを行います。
化粧品メーカー
化粧品メーカーでは、薬剤師が製品開発や品質管理、規制順守など様々な分野で活躍します。
化粧品メーカーの仕事
製品開発
化粧品の新製品開発に参加し、成分の選定や配合量、効果などを研究・検討します。安全性や効果に関する評価を行います。
品質管理
化粧品の品質管理を担当します。製造工程や製品の品質チェックを行い、品質基準に適合していることを確認します。
規制順守とコンプライアンス
製品が法令や規制に適合しているか確認し、コンプライアンスを担保します。規制順守のための対応策を検討します。
製品情報の提供
製品に関する情報資料やマニュアルを作成し、販売や販促活動で使用する資料の提供を行います。
マーケット調査と競合分析
市場動向や競合他社の製品に関する情報を収集し、戦略の立案や製品の戦略的な位置づけを支援します。
顧客サポート
顧客からの問い合わせや疑問に応じ、適切なアドバイスやサポートを提供します。製品の特徴や適用方法に関するアドバイスを行います。
販売支援
販売担当と連携して、販売戦略の立案や販売員への製品情報提供、トレーニングを行います。
医療コンサルタント
医療コンサルタントは、医療機関や医療関連企業、保険会社、政府機関などで幅広い役割を担います。
薬剤師としての専門知識を活かし、幅広い領域で医療改革や品質向上に貢献します。
医療コンサルタントの仕事
医療機関のプロセス改善
医療機関におけるプロセスや運営の効率化や品質向上のためのアドバイスや改善策の提案を行います。
医薬品情報の提供
医療機関や患者に対して最新の医薬品情報や副作用、適応症などの提供を行います。
医療政策のアドバイス
政府機関や保険会社に対して、医療政策に関するアドバイスや意見を提供します。
医療機器の導入支援
医療機器の導入や適切な利用に関するアドバイスやサポートを行います。
健康教育と研修
医療関係者や患者向けに健康教育や研修を行い、最新の医療知識やケア方法について教育します。
プロジェクトマネジメント
医療プロジェクトの計画立案や実行、進捗管理を行い、プロジェクトの成功を支援します。
コミュニケーションと調整
医療関係者や関係機関との円滑なコミュニケーションを図り、調整役として活動します。
その他
その他として大学や研究機関で、薬学の研究や教育関連の仕事などがありますが、求人数は少ないです。
これらの仕事は、薬剤師の専門知識やスキルを活かし、幅広い分野で活躍することができます。それぞれの職場やポジションによって、役割や貢献度も異なるので、自身の興味や適性に合わせて選択すると良いでしょう。
まず、どのような仕事があるかサイトをチェック!以下のサイトは登録しなくてもある程度見れます。
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薬剤師以外の仕事をしたいと思った時にまず考えるべきことは?
薬剤師以外の仕事に転職を考える際に、最初に考えるべきポイントを整理してお伝えします。新たなキャリアへの転換を成功させるために、まずは自身の目指す方向性を明確にしましょう
職種によっては年収・給料が下がることがある
異業種への転職に伴い、一時的に年収や給料が下がる可能性があります。新たなキャリアへのチャレンジを前向きに考えながら、経済的なリスクもしっかりと把握しましょう。
もしものことを考えて3ヶ月〜半年分の生活費を確保しておくのをオススメします。
薬剤師以外の仕事をすることのメリットとデメリットを理解する
目指す未来を明確にし、アプローチを考える
薬剤師とは違う職種に転職を考える場合は、自身の興味やスキルを考慮しつつ、適したキャリアパスを見つけることが重要です
薬剤師から違う仕事に転職する際、目指す未来と具体的な方法を考える必要があります。違う仕事についての情報や知識を収集する際、転職エージェントでプロのコンサルタントのアドバイスを受けるとスムーズです。
まとめ
薬剤師資格を持つと調剤だけでなく、企業で働く可能性も増えキャリアが広がります。自身の目指すキャリアを明確にし、適した職種を選定することが成功の鍵です。
転職エージェントの利用や効果的な情報収集を行い、スムーズなキャリアチェンジを目指しましょう。転職エージェント比較&おすすめ3選で詳しく解説しています。
異業種転職については薬剤師を辞めて違う仕事を探す転職完全ガイドで詳しく解説しています。
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